おうちの方向けガイド
ぬりえが小さな子どもにいい理由
ぬりえは、小さな手のための、ささやかで落ち着いたお仕事です。ぬりえが何に役立つのか、研究でわかっていることと、根拠がどこまであるのかを紹介します。


研究からわかること
ぬりえについてよく聞く6つの説を調べました。バーは、それぞれの説がどのくらい研究で裏づけられているかを表しています。
- 確かな根拠
- 関連あり・未証明
- 研究が少ない
- 示されていない
確かな根拠
色のことばは、2〜4歳ごろにゆっくり身につく
オレンジを「赤」と呼ぶように色をとりちがえるのは、ふつうの成長の過程です。14歳までに、たいていの子はいくつかの色の名前を言えます。2
確かな根拠
小児科医はクレヨンと紙をすすめている
米国小児科学会は、1〜3歳の子どもに、楽しめる遊びの一部として、クレヨンやマーカーと紙をすすめています。3
関連あり・未証明
器用な手先と、よりよい学校の成績
手先の細かい動き(微細運動スキル)が得意な未就学児は、のちに読みと算数の成績がよい傾向がありました。ぬりえそのものを調べた研究はありません。456
関連あり・未証明
形を写す力と、読みやすい字
研究が少ない
ぬりえで幼児が落ち着く
お絵かきやぬりえと気分についての研究は、6〜12歳の子どもと大人を対象に行われてきました。5歳未満の子どもについての研究は、ごくわずかです。9101112
示されていない
ぬりえ帳は創造性をそこなう
そう心配する美術教育者もいますが、どちらの立場についても研究はあまりありません。13ぬりえのとなりに、白い紙を1枚置いておくのがおすすめです。
はたらく小さな手
ぬりえやお絵かきでは、手や指の小さくていねいな動きを使います。こうした力を「微細運動スキル」といいます。丸や十字のようなかんたんな形を写すには、目と手がいっしょにはたらくことも必要です。
子どもを長い期間追いかけた研究では、微細運動スキルが高い未就学児は、のちに読みと算数の成績がよい傾向がありました。456213人を対象にしたアメリカのある研究では、形を写す力が幼稚園での高い得点と関連していました。積み木で組み立てる力や人を描く力は、関連していませんでした。5形を上手に写せる幼稚園児は、文字もはっきり写せる傾向があります。78
これらの研究が示しているのは関連です。ぬりえによって成績がよくなることを示しているわけではありません。ぬりえは、そうした力を使うための、かんたんで気負わずにできる方法というだけです。絵の中の丸を指でなぞってから、お子さんにそのとなりに丸を描いてもらいましょう。年齢別のぬりえガイドでは、たいていの子がそれぞれの形を描けるようになる時期を紹介しています。
色の話をする、自然なきっかけ
子どもは色のことばを、多くの場合2〜4歳ごろに、ゆっくり覚えていきます。その途中では、オレンジを「赤」と呼ぶように、似た色をひとつのことばで呼ぶことがよくあります。これはふつうの成長の過程です。1
4歳までに、たいていの子はいくつかの色の名前を言えます。また3歳ごろまでに、たいていの子は、たずねられると絵の中で何が起きているかを話せます。2ですから、お子さんが使っている色の名前を言ってあげて、ときどき「りんごは何をしているのかな?」と絵について聞いてみましょう。
お子さんが自分で選ぶ遊び
米国小児科学会は、遊びが小さな子どもの考える力、ことばの力、人とかかわる力、自分をコントロールする力を育てるのに役立つと述べています。1〜3歳には、ぐるぐる描き用にクレヨンやマーカーと紙をすすめています。3
同じ報告書は、ワークシートなど決まりごとがとても多い課題は遊びとは別のものだと注意をうながしています。遊びとは、子どもが自分で選び、楽しむものです。3ですから、ぬりえを用意したら、何をぬるか、どの色を使うか、いつやめるかは、お子さんに決めてもらいましょう。
よくある質問
ぬりえは幼児にいいですか?
クレヨンでのぬりえは、小児科医が1〜3歳にすすめている遊びのひとつです。3微細運動スキルも使います。短い時間にして、お子さんにリードしてもらいましょう。
出典
このページの説明は、どれもここにある出典のいずれかにリンクしています。私たちはそれぞれの出典を読み、だれを対象に調べたのかを書き添えています。
- 1研究Wagner, K., Dobkins, K., & Barner, D. (2013). Slow mapping: Color word learning as a gradual inductive process. Cognition, 127(3), 307–317.doi.org/10.1016/j.cognition.2013.01.010アメリカの、英語を話すおよそ2〜5歳の子ども。
- 2
- 3ガイドラインYogman, M., Garner, A., Hutchinson, J., Hirsh-Pasek, K., Golinkoff, R. M., et al. (2018). The power of play: A pediatric role in enhancing development in young children. Pediatrics, 142(3), e20182058.doi.org/10.1542/peds.2018-2058米国小児科学会の臨床報告。専門家による研究のレビューです。
- 4研究Grissmer, D., Grimm, K. J., Aiyer, S. M., Murrah, W. M., & Steele, J. S. (2010). Fine motor skills and early comprehension of the world: Two new school readiness indicators. Developmental Psychology, 46(5), 1008–1017.doi.org/10.1037/a0020104アメリカとイギリスの6つの長期データ。入学時の微細運動スキルが、のちの算数と読みの成績を予測していました。
- 5研究Cameron, C. E., Brock, L. L., Murrah, W. M., Bell, L. H., Worzalla, S. L., Grissmer, D., & Morrison, F. J. (2012). Fine motor skills and executive function both contribute to kindergarten achievement. Child Development, 83(4), 1229–1244.doi.org/10.1111/j.1467-8624.2012.01768.xアメリカ中西部の213人、平均5歳。著者は、この研究は因果関係を示すものではないと述べています。
- 6研究Dinehart, L., & Manfra, L. (2013). Associations between low-income children's fine motor skills in preschool and academic performance in second grade. Early Education and Development, 24(2), 138–161.doi.org/10.1080/10409289.2011.636729アメリカ・マイアミデイド郡の低所得家庭の未就学児を、小学2年生まで追跡。
- 7研究Daly, C. J., Kelley, G. T., & Krauss, A. (2003). Relationship between visual-motor integration and handwriting skills of children in kindergarten: A modified replication study. American Journal of Occupational Therapy, 57(4), 459–462.doi.org/10.5014/ajot.57.4.459アメリカ・ニューヨーク市の幼稚園児54人。
- 8研究Weil, M. J., & Cunningham Amundson, S. J. (1994). Relationship between visuomotor and handwriting skills of children in kindergarten. American Journal of Occupational Therapy, 48(11), 982–988.doi.org/10.5014/ajot.48.11.982アメリカ・ワシントン州の5〜6歳の幼稚園児60人。
- 9研究Drake, J. E., & Winner, E. (2013). How children use drawing to regulate their emotions. Cognition and Emotion, 27(3), 512–520.doi.org/10.1080/02699931.2012.720567アメリカの6〜12歳の子ども。ぬりえではなく、自由なお絵かき。
- 10研究Carsley, D., Heath, N. L., & Fajnerova, S. (2015). Effectiveness of a classroom mindfulness coloring activity for test anxiety in children. Journal of Applied School Psychology, 31(3), 239–255.doi.org/10.1080/15377903.2015.1056925平均約11歳の子ども52人。どちらのグループもぬりえをしたので、ぬりえをしないグループとの比較はありません。
- 11研究Curry, N. A., & Kasser, T. (2005). Can coloring mandalas reduce anxiety? Art Therapy, 22(2), 81–85.doi.org/10.1080/07421656.2005.10129441大学生84人。対象は大人だけです。
- 12レビューJia, Y., Zhang, S., & Liao, D. (2026). Drawing and visual art interventions for anxiety in children aged 5–12: A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ Paediatrics Open, 10(1), e004752.doi.org/10.1136/bmjpo-2026-0047525〜12歳の子ども816人を対象にした10の試験で、その大半は病院で行われたもの。結果のばらつきが大きく、ひとつのはっきりした答えは出せませんでした。
- 13論考King, I. L. (1991). In search of Lowenfeld's proof that coloring books are harmful to children. Studies in Art Education, 33(1), 36–.doi.org/10.2307/1320575ぬりえ帳は子どもに害があるという主張の根拠を調べ、さらなる研究を呼びかけています。
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